『種の起源』チャールズ・ダーウィン
- 栽培環境における人為選抜による変異の蓄積
- 自然状態にある種の変異の生じやすさ
- 生物の生存競争, 自然による「選抜」
- 「自然淘汰」
- 変異の法則と成長の相関作用
- 問題1: 移行. 単純な生物からどう複雑になるのか
- 問題2: 本能. 動物の心理的能力
- 問題3: 雑種形成. 妊娠可能な種の断絶, その境界
- 問題4: 地質学の記録に見られる不完全さ
- 生物が時代と共に変化し, 地質学的な形質をなす
- 生物の空間的・地理的分布
- 同上
- 生物の分類
- まとめと結論
1章: 栽培環境における人為選抜による変異の蓄積
- 人為的な選抜を行うと, 意図しない形質まで一緒に変化してしまう. これを成長の相関作用と呼ぶ. 謎めいた法則.
- 変種と種を区別することの難しさ
- 花屋の花を2,30年前の植物画と比べるとずいぶん改良されている. 品種が固定すれば選抜は終わる. 単に不良品を捨てるだけになる.
2章: 自然状態にある種の変異の生じやすさ
種とは極めて顕著な特徴を持つ永続的な変種にすぎない
変種と種を区別することは不可能であるが, 独立した種と断定できる場合が2ツある.
- 移行段階に当たる中間的な集団が見つかっていて, しかもその中間的な系列をなす集団間にはわずかずつの差異が存在している場合.
- 中間的な種が見つかっていなくても, 両者の間に存在する差異がわずかであれば別種ではなく変種とみなす
4章: 「自然淘汰」
- 大きな変異は必要ではない. わずかな変異を蓄積すれば十分. 自然は膨大な時間を利用することができる.
自然の産物が人間の産物よりもはるかに「本物」の性質を備えていても、何の不思議もない。自然の産物のほうが、複雑きわまりない生活条件にはるかに適応し、すばらしく高度な技量が発揮された刻印を背負っていて当然なのだ。
p.158
- 異なる変種間の交雑, 同じ変種でも系統の異なる個体間の交雑によって, 健康で繁殖力の高い子供が生まれる.
- いかなる種でも変異した子孫は構造を多様化すればするほどうまく生存できる可能性が高くなる.
5章: 変異の法則と成長の相関作用
- 二次性徴は非常に変異しやすい
- 二次性徴を蓄積したのは性淘汰. 性淘汰は通常の自然淘汰に比べて死をもたらすほどクリティカルではないので, 変異の余地がある.
6章: 問題1: 移行. 単純な生物からどう複雑になるのか
- 自然淘汰によって中間的な種は絶滅していく
- しかも, その中間的な種は化石に残るとは限らない. 後述のように化石記録はきわめて不完全で断片的.
- 2つの器官が同じ役割を果たしている状態が存在する. 片方がすべて独力でできるように変化し, もう片方は消滅するか, 別の役割を持つようになる.
例: 魚のうきぶくろ. うきとしての機能 <=> 呼吸器
段階的移行が本当にあったのか, 疑問になるような例も存在する. たとえば魚の発電器官.
- だがエイには発電器官に似ている(しかし実際に発電はしない)器官があったり, ぶっちゃけまだわかんない.
7章: 問題2: 本能. 動物の心理的能力
- 自然淘汰によって本能が獲得された説明として説明に適した3ツの例がある.
- カッコウの托卵
- アリの奴隷狩り
ミツバチの巣
ミツバチの巣は, 等間隔で配置されたミツバチが円状に巣穴をかじり取っていく. 最初から六角形を作ったりはしない.
- ;; これは一応遺伝距離のアレで説明ついてるはず
あとがき
以下, 下巻
8章: 問題3: 雑種形成. 妊娠可能な種の断絶, その境界
9章: 問題4: 地質学の記録に見られる不完全さ
地質学的な証拠が不十分であることを根拠に私の学説に反論する(中間的な種なんて出てこないじゃないか)人がいるかもしれないが, そもそも地質学的な記録は不完全なものである.
硬い部分がない生物は保存されない
- 連続して出てくる地層は, 年代的に連続していないことがほとんど. なっがい年月がその間に経過している.
- 「生物が世界中でほぼ同時に変化することについて」
- ;; 大陸が移動するという可能性も知られてなかった時代だからな
14章: まとめと結論
何もわかっていないような問題, あるいはどれほどわかっていないかさえ知られていないような問題に対してほど, 重大な異論が提起されるべきものなのだ.
下巻 p.367
自然の闘争から, 飢餓と死から, われわれにとってはもっとも高貴な目的と思える高等動物の誕生が直接の結果としてもたらされるのだ. この生命感には荘厳さがある. 生命は, もろもろの力とともに数種類あるいは1種類に吹き込まれたことに端を発し, 重力の不変の法則にしたがって地球が循環する間に, じつに単純なものからきわめて美しくきわめてすばらしい生物種が際限なく発展し, なおも発展しつつあるのだ.
p.下巻403