『愛するということ』エーリッヒ・フロム
- 作者: エーリッヒ・フロム,Erich Fromm,鈴木晶
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1991/03/25
- メディア: 単行本
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20150529読了. 現時点で2015年暫定一位
;; 原題 "The Art of Loving"
;; 物理本へ書き込みしたのでメモ少なめ
要約すると『愛するということ』の「愛する技術」は「理性」と「信じること」に立脚しており,自身を信じていればこそ将来を約束でき,かつ自分の愛が他人の中に愛を生む可能性を信じられ,さらに客観性と謙虚さで身につけた理性で上記各信念が妄信か理にかなった信念かを区別するという構成らしい
現代人は自分自身からも,仲間からも,自然からも疎外されている.現代人は商品と化し,自分の生命力をまるで投資のように感じている.投資である以上,現在の市場条件のもとで得られる最大限の利益をもたらさなければならないということになる.(p.131)
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今日の人間の幸福は「楽しい」ということだ.楽しいとは何でも「手に入れ」消費することだ.(中略)世界は,私たちの消費欲を満たすための一つの大きな物体だ.(中略)私たちはその乳房にしゃぶりつき,限りない期待を抱き,希望を失わず,それでいて永遠に失望している (p.133)
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それぞれが自分の存在の中心において自分自身を経験するとき,はじめて愛が生まれる.この「中心における経験」のなかにしか,人間の現実はない.人間の生はそこにしかなく,したがって愛の基盤もそこにしかない.(p.154)
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愛を達成するための基本条件は,ナルシシズムの克服である.ナルシシズム傾向の強い人は,自分のうちに存在するものだけを現実として経験する.(p.175)
- 客観性はナルシシズムの対極にある
- 客観的に考える能力が理性,理性の基板となる感情面の姿勢が謙虚さ
- 自分自身を信じているものだけが他人に対して誠実になれる
- 信念の根拠の有無を区別できるようにする
信念習得練習の第一歩は,自分がいつどんなところで信念を失うか,どんなときにずるく立ち回っているか,そしてそれをどんな口実で正当化しているかを詳しく調べること