『ディスコ探偵水曜日』舞城王太郎
- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/07
- メディア: 単行本
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上巻
20150812開始,同日読了
" 「あんまり翻弄しまくらないでね.うまくいくものもいかなくなるから」 「そうですか?」 「人のこと翻弄するのとかって,そのこと自体にどっぷりはまっちゃったりするからねえ」 " p.48
" 疑うことそのものにも際限なんてない.思いがけない発見をしたという経験が,人をより強く,新しい疑いへと駆り立てる. 隠された,隠れていた事実や真実を知ることは善きことだろうか? 正しさのために何かを疑うことは,しかし正しいのだろうか? " p.104
" 感情によってドライブされた推論は,そこに余計なバイアスがかかっている以上信用しにくいものだ...というのは本当だろうか? 感情をもつ人間の行いのすべては,どうしようもなくエモーショナルであってそのことからは逃れようがないのではないだろうか? 感情を介入させないとする態度もまた感情によって起動する...誰に感情を排除できるだろう? 誰がニュートラルに感情を批評できるだろう? " p.140
;; 水星Cの登場インパクトで完全にキャラ付け先入観与えられてそれがぽこぽこ剥がれてくのが面白い
" 「何をどうすればいいのか判らないことを判らないままとにかく始めることを《何とかする》って言うんだよ.覚えとけ」 " p.166
" どう信じればいい?って信じるにやり方はない.信じるということはそのまま飲み込むことなのだ.世界は相変わらずなのだ.俺はそれを飲み込むしかない...のに辛いのは結局自分自身を信じられないからで,俺は自分をちゃんと信じなければならない. " p.274
;; 後半の推理(?)からまた舞城王太郎の悪い癖が...
" 自分一人の世界だったらそれこそ何でもありかもしれませんね.でも他人はいる.だからこそ《共通理解》とか《常識》ってものができるし,それが世界を縛るんです " p.532
" 「でもずっとこうしてるわけにもいかないよな.順序というか,順位がある」 「...で,私,順位が下なんだね」 「ある意味では最優先なんだ」 " p.604
" 人間というのは一つの空間だ.《自分》という認識で一つにまとまっている. " p.611
" でも定められてるとは言え俺は努力を続けなければならないのだ.思うこと,感じること,求めること,願うこと,欲しがること,そういうものを全て強く持つことだけが運命を引き寄せる.誰よりも強いそれらを持つことだけが運命を具現化させる. " p.618
下巻
- 作者: 舞城王太郎
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20150812開始,20150813読了
;; 下巻からは時空びゅんびゅん超えまくる SF で,そこからさらに 500p 以上も話を展開できるのがすごい.展開してると言えるならだが. ;; 最終的にオカルトに押し込めることなく悪が企業の営利主義という形をとってるのはなるほど
;; ブラックスワンの連中,ほんとにナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』発だったのか
" お前にまずできることは,考えることだ.お前にしかできないこともそれだろ. " p.153
" 弱いってのは本当に罪だねえ.馬鹿の次に悪いよ " p.169
" 悪は感情とか気持ちじゃないからね.悪は存在だよ.ただ在るんだ.だから,おそらくだよ? 神と違って人間が作り出したり創造したりしたものじゃなくて,ただ,ポッと生まれたんじゃないかな.なんか,ふわっとさ.前触れもなく,ただそこにさ. " p.441