『脳を鍛えるには運動しかない!』ジョン・J・レイティ
脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
- 作者: ジョン J.レイティ,エリックヘイガーマン,John J. Ratey,Eric Hagerman,野中香方子
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2009/03
- メディア: 単行本
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20150405開始のち停滞,20150414読了
原題: "SPARK -- The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain"
脳の信号送受信で実際に受け渡しされるものの80%はGABAとグルタミン酸 グルタミン酸はニューロンの活動を活発に,GABAはそれを抑える "調節"するのがセロトニン,ノルアドレナリン,ドーパミン
ここ15年で研究が進んだBDNF(脳由来神経栄養因子) ... ニューロンの回路,つまり脳のインフラを構築・維持する
ラット実験 -- 運動するとBDNFが増加するらしい.ラットが自発的に運動しないとだめ.
学習効果を高めるにはBDNFが増えただけではダメ.
20世紀の大半は「脳のニューロン数は生まれつき決まっている」という常識だったが今では違う.1998年にがん患者の増殖細胞を着色する仮定で海馬が増えてることをたまたま確認.
ただ走るだけでは増えるだけ.脳細胞が生き残って回路を作るには信号が流れなければ,つまり環境から刺激を受けなければならない.
運動するとIGF-1, VEGF, FGF-2といった成長因子がBBBを通過して脳内でBDNFと協力して学習にかかわる分子メカニズムを活性化する
進化的に考えると元々学習するのは行動して栄養を獲得するためだったので,体が動かなければ学習する必要はない.
どんな運動が良いか,というのはまだ研究中だが,最大心拍数の60-70%, あるいは70-80%というレンジで研究が行われてる.
ちなみに運動してる"最中"はだめだよ.終わった後に脳に血流が戻ってくるのでそこがチャンス
有酸素運動と複雑な動き(技能の習得)は互いに補いあっていて,両方取り入れることが大事.
そこでわたしがお勧めするのは,心血管系と脳を同時に酷使するスポーツ(たとえばテニスなど)をするか,あるいは,10分ほど有酸素運動でウォーミングアップをしたのちにロッククライミングやバランスの訓練といった酸素消費量が少なく技能を必要とする運動をするというやりかただ(p.70)
運動はニューロンを傷つけるが,修復メカニズムが働いて筋肉と同じようにさらに強化される
ストレス,緊張で頭が真っ白になるのは,眼の前の危機から肉体的に逃れることがかつては重要だったため
ストレスに反応しているときはストレスと関係ない情報は記憶されない.
警報ベルがなって数分以内に,脳の主要なストレス因子であるコルチゾール,CRF,ノルアドレナリンがニューロンの受容体と結合してグルタミン酸を増やす.(中略)このストレス反応は,記憶の基本メカニズムである長期増強(LTP)を促す(p.86)
最大心拍数の60%が,乳酸のバランスを崩すため最低限必要な負荷
人間心理のほかのあらゆる面と同様に,やる気も生物学的に生じるものだ.(p.181)
からだを動かすと不要な食欲も除去できる
運動プランの指針
- 有酸素運動
- 週4日,30-60分,最大心拍数の60-65%
- ウォーキングが最適
- 週2日,20-30分,最大心拍数の70-75%
- 少しペースを上げる
- 週4日,30-60分,最大心拍数の60-65%
- 筋力
- 週2日,10-15回を1セットとして3セット行う
- ダンベル等による筋力トレーニング
- 週2日,10-15回を1セットとして3セット行う
- バランス・柔軟性
- 週2日,30分,バランスと柔軟性を高める運動
- ヨガ,空手,ダンス,バランスボールetc
- 週2日,30分,バランスと柔軟性を高める運動
わたしが強調したかったこと -- 運動は脳の機能を改善する唯一にして最強の手段だということ -- は,何百という研究論文に基づいており,その論文の大半はこの10年以内に発表されたものだ.脳のはたらきについての理解は,その比較的短い時間にすっかりくつがえされた.(p.308)
人間の体が求める運動量はかなり多いはずで,週にちょろっとでは本来不足.
理想的には週に6日,なんらかの有酸素運動を45-60分.うち4日は中強度で長め,あとの2日は高強度で短めにする.(先の指針でも書いてたな).高強度の日は2日連続にはしない.
週に2回,20分のジョギングの間に20-30秒の全力疾走を5回取り入れたところ数年間変らなかった(太りすぎではなかったが)体重が一段階落ちたそうな.
最善の戦略は,ほぼ毎日,何か運動をしながら,その枠組には柔軟をもたせ,少々曲がっても大目に見て,おおもとから破綻しないようにすることだ(p.332)