『生きられる時間』ユージン・ミンコフスキー
- 作者: E.ミンコフスキー,Eug`ene Minkowski,中江育生,清水誠
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1972/01/01
- メディア: 単行本
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20150804読了
上巻
"「時間」に対するわれわれの権利, 現代生活がわれわれから奪ったと思える権利を取り戻したいのだ" p.5 "自由時間を有つことが問題なのではなく, 時間の中で自由にまた自発的に生きかつ死ぬ術を学ぶことが重要なのである" p.8 精神病患者の時間. あるいは未発達な子供の時間. 物事の前後関係をもとに時間的なものを認識.
"一方に於いては、時間は一切の概念的方式化に逆う非合理的な一現象として現れるが、しかし他方に於て、われわれがそれを表象せんとするや否や、それは自然に一本の直線の様相を取る。故に時間のこれら二つの極端な様相の間に挿入され、かつ重なり合いつつ、一方から他方への移行を可能にするような諸現象が存在するのでなければならぬ。" p.33
"自我は生成に於て,生ける人格として自分を肯定する.自我はそれを如何にして行うのか.この問題を解くためには,私は前に赴き,かくして何事かを実現する,という現象を分析しなければならない." p.57
"活動性は時間的本性の現象である.それは存在にではなくて,生成に属する.もっと正確に言えば,それは未来という因子を含んでいる" p.106
"未来,それは理想である.それは倫理的行為の追求である.それはわれわれのうちにある,最も高きものの例外的な実現である.かかるものとして,それは自己充足し,支点を一切必要としない.そのために必要な充分な力を,それは有っている.またもし有っていなければ,いつの日かそれを有つであろう.そしてそのことも,理想に属しているのである" p.156
"われわれはなんと子供じみていることだろう.それではわれわれは死ぬことなしに,生きることができるとでも言うのだろうか" p.169
"それでは,魂が身体を離れて生延びるのであろうか.とんでもない.とんでもない.死は一つの人生を完成するのである.死はそれに終止符を打つのである" p.185
下巻
- 作者: E.ミンコフスキー,Eug`ene Minkowski,中江育生,大橋博司,清水誠
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1973/01/01
- メディア: 単行本
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20150804開始, 同日読了
;; 上巻からずっとだが,著者はベルクソンの影響を強く受けている
著者から見ると,現象学的与件と精神病理学的与件は強く結びついている.
"彼女は一般生と,現在とのうちに生きている.事実彼女は決して未来に思いを馳せることはない.また過去を思い出すとすぐにそれが現在のことになってしまう" p.234