『量子力学の解釈問題 実験が示唆する「多世界」の実在』コリン・ブルース

量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在 (ブルーバックス)

量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在 (ブルーバックス)

20150531開始,同日読了

人間が地上から感じ取れるものではないが光には圧力があり,ソーラーセイルとして推進力に使われる.光を電子と交差させ,一部の電子のみが弾き飛ばされることから光は粒子で(も)あると証明.

エンタングルした粒子が離れた場所で超高速で影響を与え合うという性質,アインシュタインポドルスキー,ローゼンの頭文字からEPRパラドックスと呼ばれている.

小さい誤差ならほっとけばいいじゃないか,量子の効果を無視できないのはなぜか?

相対論的な世界では,情報を高速より速く送れるということは,過去に向けても送れるということを意味する.

  • 量子論の基本問題(1) : 無気味な量子的つながりは,超高速送信が存在することを意味するか,またはつながり両端での局所的な出来事が,それぞれ独立に確定しては進んでいないことを意味するようである
  • 量子論の基本問題(2) : 無気味な量子的つながりは,超高速送信が存在することを意味するか,または量子現象は真にランダムであることを意味すると思われる.
    • => 多世界の存在を仮定すれば,超高速送信は存在しない && 物理法則はランダム性を持たない,という両立が可能
  • 量子論の基本問題(3) : なぜ宇宙は可能な,すなわち起こり得たが起こらなかったことを調べるために,莫大な努力を浪費しているように見えるのだろうか.
  • 量子論の基本問題(4) : 粒子の波が互いに絡みあった無数のパターンを生み出しているはずのときに,なぜ現実は,単一の特定のパターンをもった世界であるように見えるのか.

シュレディンガー自身はコペンハーゲン解釈に懐疑的で,有名なシュレディンガーの猫は,コペンハーゲン解釈の「奇妙さを主張する」ために持ちだされたもの.

アインシュタインは誤っていた.エンタングルメントは現実に存在することが証明されている.

ハワードによれば,ボーアはいわゆるコペンハーゲン解釈を提唱したとき「少なくとも観測者がそう観測した」という最小限の事実だけが確かであると言いたかっただけだ,と.つまり「観測という行為が状態の収束を物理的に引き起こす」と主張したわけではない

ヒルベルト空間の中心アイディア : 十分に多くの次元をもつ空間ならば,その中の一つの点でシステム全体の状態を記述できる.

ベッケンシュタイン限界 : 三次元宇宙の有限な領域において,記憶でき,そこから取り出せる情報の最大量は有限であることが一般相対論を使って示されている.

特殊相対論と一般相対論の登場は,実際は,ニュートン以来ずっとよろめいてきた単純で直感的な世界像を「復活」させたのだ.そして量子論だけが,刺さったとげのように残っている.(p.147)

8章以降の多世界解釈が本番.多世界解釈は「理解しやすい」という利点がある.

量子物理学者たちにアンケート(非公式)取った所,75%が多世界解釈を支持.あとはコペンハーゲン解釈と未発見の収束メカニズムが同数,ガイド波解釈がさらに小数.が,全体から見ると半数近くが「どれにも同意しない」

量子コンピュータ理論の基礎は1985年にデイビッド・ドイチが提唱したmassive parallelism技術,一組のハードウェアで様々な世界で様々な計算を同時に行うというもの.多世界解釈を利用.

いまのところ有用な量子アルゴリズムは1個しか見つかっていない.ピーター・ショアのアルゴリズム