『ダーウィンの箱庭 ヴィクトリア湖』ティス・ゴールドシュミット

ダーウィンの箱庭ヴィクトリア湖

ダーウィンの箱庭ヴィクトリア湖

20150531開始,同日読了

著者はオランダ出身,1980年から5年間をヴィクトリア湖で過ごす.

ヴィクトリア湖は淡水湖の中では面積が世界2位,北海道より少し小さいくらい.

シクリッド(現地語で"フル")はヴィクトリア湖で300種以上に分化しいまなお進化が続いている.50年に1種のペースで新しい種が生まれている.

調査の最初,様々な色形(頭部と歯によく違いが現れる)のシクリッドが取れるがこいつらは本当に交配できない別の種なのかという疑問.

近い将来,統計学者と遺伝子に取りつかれた学者だけが残り,種を識別したり,動植物を観察する生物学者はいなくなるだろう.(p.38)

E.O.ウィルソン曰く種とは「概念的には自然の状態で自由に遺伝子が交流するひとつの集団,一連の集団」

分子生物学者は系統樹をつくるにはどの種を使うのが最適化をわれわれに尋ねる.(p.71)

mtDNAに突然変異のおこる頻度は,哺乳類で核DNAの5-10倍.なので違いの少ない種を解析するときはこちらを使う

ダーウィンの見落としていた問題.ダーウィンは進化(彼自身の言葉によれば"変更を伴う由来")と新種の起源を同一視していた.実際は進化の上での"変化"は新種の発生を伴わずに起こりうる. 種の分離がどのように起こるか,分かれる段階で正確には何が起こるのかを分析していない.

実験室でフルの異種間交配実験を行うと,ちゃんと生殖能力のある子が生まれた. ;; あれ,それって"異種"なの

しかしフィールドで採取するとまったく雑種がいない

シクリッド類に共通する,新種を生みやすい特徴 = 喉にある第二の顎とも言うべき器官.ここが食料パターンによって細かく変化する.石臼のようだったり鋭い歯が並んでたり

しかし生殖障壁は? どう発達するというのか. 自分と同じ色の魚を選ぶようにgなる.

イギリス人が骨ばったフルの代わりに食用になるようにとナイルパーチを放つ.生態系を壊し研究は頓挫?

1954年に放流したとか.著者がいたの1980年だからなんで今さら? いやだから「私は遅すぎた」なのか. 1989年あたりに戻ってくるとすっかりナイルパーチ産業が染み付いていて店で出るのもナイルパーチ.

ナイルパーチはフルをほぼ食べ尽くしたが,それでも飢えることはなかった.フルの代わりにカリディナ・ニロティカというエビが爆発的に増加したため.さらにナイルパーチは共食いする.

『我と汝・対話』マルティン・ブーバー

我と汝・対話 (岩波文庫 青 655-1)

我と汝・対話 (岩波文庫 青 655-1)

20150502開始,同日読了.狩りて読んだが名言多いので手元にほしい.

我-汝 と 我-それ ふたつの根元語がある. 我-汝は関係を生み,我-それは経験を生む.経験とは汝からの遠ざかり(Du-Ferne)である.

制作とは創造であり,作り出すということは見出すことである.造形とは顕わにすることである.私は具現することによって,開顕する.(p.16)

汝は経験されない.では汝の何が知られるのだろうか? そのすべてのみが知られる.なぜなら汝についてその個々のものはもはや何一つ知られないのだから.

私が汝と出会うのは,汝が私に向かいよってくるからである.だが,汝との直接的な関係のなかへ歩みいるのはこの私の行為である.関係とは選ばれることであると同時に選ぶことであり,受動であると同時に能動である. (p.17)

愛は我と汝の「あいだ」に存在するのである.

愛とは,ひとつの汝にたいするひとつの我の責任である.(p.23)

関係の中に歩みいること(In-Beziehung-treten)の相対性

世界におけるあらゆる汝は「それ」にならざるを得ない.逆に,この世界のすべてのものは「もの」となる以前,あるいは「もの」となった後にひとつの我に対してその「汝」として現れうる.

人間は汝との関わりにおいて我となる.向かい合う存在が交代していくなかで次第に「我の意識」が立ち現れてくる.

純然たる現在のうちにのみ生きることはできない.もしも,あらわな現在というものにすばやく,しかも徹底的に打ち克てるように前もって準備がなされていたなら,それによってひとは焼きつくされてしまうだろう.だが純然たる過去のうちになら生きることができる.そうだ,過去のうちでのみ人生というものは整理され得るのである. (p.48)

あらゆる瞬間を経験と利用で満たせば,いかなる瞬間も燃え上がることはない.

きみよ,それなくしては人間は生きることができない.だが,それとともにのみ生きる者は,人間ではない.(p.48)

経験と利用の機能の向上には,たいていの場合人間の関係能力の低下と引き換えに起こる.

精神の本質とは「汝を言う」能力である.

「それ」の世界において因果律は無制限にこれを支配する.が,人間はそれのみにとらわれない.

  • 根元語「我-それ」における我は個我(Eigenwesen)として発現,自己を(経験と利用との)主体として意識.
  • 根元語「我-汝」における我は人格(Person)として発現,自己を(従属的な属格を持たぬ)主体として意識.

ブッダは人間に向かって汝を言うことを知っているが,弟子たちに汝を言うことを教えてはいない.

人間は受け取る.そして彼はひとつの<内容>をではなくて,ひとつの現在を,力としてのひとつの現在を受け取るのだ.(p.147)

『わかる!会社法』小林英明

20150426開始...ブランク, 20150502読了.図書館で借りたが手元にほしい & 2014年に改訂されてるので買い直し.

雑感

わかりやすい講義,という感じ.無味乾燥になりがちな法律の列挙に解説を加えて色付けしていくスタイルで,取得選択のバランスが絶妙.

メモ

  1. 会社とは
  2. 株式会社
  3. 従業員の義務
  4. 従業員の刑事責任
  5. 資金調達
  6. 会計
  7. 設立から解散
  8. 企業グループ

会社法改正の狙い = 規制の緩和,現代のビジネスニーズへの対応,会社の実態と法律を近づける

法律的に会社とは「営利を目的とする社団法人」

社団 = 人の集まり.法人 = 法律によって人間と同じように権利・義務主体の資格を与えられたもの

合名会社,合資会社は個人経営の色を残しており,無限責任を追う社員がいる.合同会社にはそれがない(みんな有限責任).

合同会社にはパススルー課税(法人に課税せず,社員が直接所得税を納める)が採用されるか? と期待されたが結局ナシ.米国のLLCに比べ劣化.

株式会社だと出資比率に応じた利益配分が(ほぼ)必須となっているが,合同会社は自由

日本に会社は250万社ある.うち資本が1億を超えてるのは4万社,2%未満.

個人経営ではなく会社を設立するメリット

  1. 有限責任
  2. 資金集めの容易さ
  3. 対外的な信用

定款について

すべての会社が定める.任意記載事項と必須記載事項など重要度いろいろ. いったん定款に記載されると株主総会で2/3以上の賛成による特別決議が必要.

これ以降メモ濃度下がって読み流しに

「構成要件該当性 > 違法性 > 責任」の順に判断されすべてYESなら犯罪となる.(法律の知識不足などで)違法性の認識がなくても罪になる.その行為が故意かどうか,とはまた別.

『自我論集 > 「快感原則の彼岸」』フロイト

自我論集 (ちくま学芸文庫)

自我論集 (ちくま学芸文庫)

20150426開始,20150428読了

雑感

まさかフロイトがこんな大真面目に細胞と生命について考察してるとは

メモ「快感原則の彼岸」

欲動の保守的な性質 生命は無生命状態に戻ろうとする 欲動の保守的な性質 生命は無生命状態に戻ろうとする過程...保守的なので。 欲動で生命の動機を説明しようとしてる 性欲動は他の欲動と対立する 人間の内部には特別な、新たな変化を求める傾向、超人へ向かう傾向などは 存在しない。動物と同じように説明できる

ヴァイスマン『生と死について』 死ぬ生命物質と不死の生命物質。要は胚細胞だけど ヴァイスマンは、生命はその進化の遅い段階で死を獲得したとする。原生動 物は条件さえ整えれば分裂し続けて内的には不死であると

ウッドラフの研究。分裂のたびに新しい環境に入れれば3000世代を超えて生存. しかも遠い血縁の老廃物なら影響なく、自身の老廃物が溜まった溶液においてのみ老化現象を示した。

ショーペンハウアーによれば死は生命の本来の結果であり目的でもある

ヴァイスマン、『胚原形質』で受精は生命の若返りだという視点を否定。ではなく、二つの異なる遺伝傾向を混ぜるための仕組みである、と

「飛んで行けぬものならば、足を引き摺ってでも行かねばならぬ」ハリーリー『マカーマート』

解説からの追加メモ 『快感原則の彼岸』から3年後の『自我とエス』にかけてフロイトの自我理論は大きく変化 『快』においてフロイトは快感原則と現実原則の対立構図が維持できなくなったとみとめ死の欲動を導入 で、それまでの快感原則とは異なる反復強迫とでも言うものが心の装置を支配する場合があり、それが「快感原則の彼岸」にある、との意見を表明 「反復強迫は快感原則を凌ぐものであり、快感原則よりも根源的で、基本的で欲動に満ちたもの」p.140 と考えている

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「自我とエス」ほか

意識と無意識分けるのは精神分析の大前提 が、無意識とは潜在的に意識できる 潜在的に意識可能、すなわち記述的に無意識的なものを前意識的とよび、本来の無意識的なものと区別する 心ににたもの「プシコイド」 無意識Ubw, 意識Bw, 前意識Vbw

フロイトはこの区別に満足できず、より包括的な自我と、抑圧されたもの、という意味でのエスとに分けて考えはじめる

解説よりキャプチャ

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『世界史の極意』佐藤優

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

20150429開始,同日読了

2015年1月発行.著者買いの一部.

視点は「資本主義」「民族」「宗教」の3ツ

歴史は繰り返す.アナロジーでとらえる.

戦争は続いている.20世紀前半の旧帝国主義ベルリンの壁崩壊以降の新帝国主義. 著者は認識が甘かったと反省.『国体の本義』の頃は日本の大きな物語を再構築しようとしていたが,それどころではなくグロテスクな大きな物語の氾濫をせき止めるほうが急務だと.

資本主義

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資本主義は変化してきた.16世紀重商主義にはじまり,自由主義 > 帝国主義(独占) > 国家独立資本主義 > 新自由主義へと.

16世紀は金銀を直接買う・奪う.17世紀に入ると東インド会社,国家経済に強く介入.その後イギリスが海軍の力と経済力で自由主義へ移行したがドイツに産業革命で抜かれる.んで19世紀になるとアメリカへ

;; このへんの話,レーニン『帝国主義』が興味深い

しかし2001テロと2008リーマンで軍事・経済双方のアメリカ弱体化が明らかに.

グルジア戦争の経緯.グルジアが自国内の南オセチア自治州の実行支配を回復回復をしようとしたがここにはロシア軍が駐留していた.グルジアがアメリカとつながっていたため楽観視していたが,蓋をあけてみるとロシアは過剰に反撃.

著者曰くこれ以降国際秩序が根本的に変化.武力で国境を変えないというルールが崩れた.

グローバル化していくと税金が取れなくなるので国家は弱まる

日本が武器輸出原則を緩和.オーストラリアにディーゼル潜水艦を販売したり.

豪の次世代潜水艦を日本で建造、両国が協議=関係者 | Reuters http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GW1S020140901

守備一貫して資本主義を説明できているのは著者曰くマルクス経済学のみ.

資本主義社会の本質は「労働力の商品化」

賃金を決定する要素三つ

  1. 労働者が次の一ヶ月働く体力を維持するだけのお金
  2. 労働者階級を再生産するお金,つまり家庭を持てること
  3. 進歩する技術に追いつき労働者自身を教育していくお金

労働力の商品化はイギリスのエンクロージャーにより偶然発生.

EUは広域帝国主義連合だが経済的にはドイツが本質.

  • アベノミクスの円安株高の恩恵を受けるのは輸出企業と金融資産の富裕層.
  • 国内で待ったなしの問題は教育と移民.

各国の歴史教科書を読み比べるとよい.その国の名前在的論理を把握できる. イギリスの歴史教科書である『帝国の衝撃』オススメ.うすくてすぐよめるし

歴史にはドイツ語でゲシヒテとヒストリーがある 日本の歴史教科書はヒストリーで客観的に事実を書く.しかしこれは諸刃の剣 新帝国主義のげーむに日本も巻き込まれてる

日本も19世紀まで独立した政治をしていた沖縄を取り込んだ帝国主義国である.本土と沖縄は天皇信仰を共有してない.

日本は既に沖縄という外部領域がある均一でない国家.自らの手が汚れていることを自覚しなければならない

参考文献: 『資本主義の終焉と歴史の危機』

民族

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  • 民族という概念が最初に根付いたのは中東欧.
  • かつて中世ヨーロッパでは教会と社会が一体化していた.
  • イギリスとフランスの100年戦争(イギリスが優勢だったらジャンヌダルクがフランス軍救ったってあれ)
  • 16世紀ハプスブルグ家が世界の中心
  • そんな時ルターの宗教改革が起こる

まだこの時点では近代的な国家 "ネイション" がない.すなわち民族問題,ナショナリズムが存在しない. -> 1789年フランス革命.ここで初めて近代的なネイションが誕生.

第一次世界大戦の火種バルカン戦争は,スラブとゲルマン人の民族的対立が根本.

フランス革命以降に広がったナショナリズムが中東において民族問題を構成,第一次世界大戦の背景となっていったという流れは大事.

ナショナリズム論の三銃士

民族という感覚は近代とともにうまれた.レーニンは中央アジア少数民族プロレタリアート革命を実行してもらおうとした...が,レーニンの企みは"うまくいきすぎ"て,ムスリムに力が付きすぎてしまう.

スターリンは国家を分割することで人工的に民族を作り出した(図)

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ウクライナ危機まとめ】

2010年ヤヌコビッチ大統領が,EUロシア二股かけてたけど2013年に突如EUとの連携を辞めてロシア寄りに.方針転換に反発するデモが激化,結局ヤヌコビッチは行方不明となり暫定政権発足. さらに続いて2014年3月にはウクライナのクリミア自治共和国住民投票,ロシアはクリミアを編入.

ウクライナ情勢を説くカギはウクライナ人の複合アイデンティティ.国内でも地方で民族意識がだいぶ異なる

ウクライナナショナリズムの衝突をイギリスの歴史とのアナロジーで考える.複数の立場の人物が登場して意見を穴埋めさせる教科書.ええなこれ.

2014年9月スコットランド独立問題.投票するが,結局独立は否決.スコットランドが独立していたらイギリスは油田を失う.

ギリシャ語ではクロノスとカイロスという異なる時間概念がある.カイロスは英語だとタイミングに相当.ある出来事が起こる前と後では意味合いが異なってしまうヨウナ、クロノスを切断する時間

イギリスはぼんやりとしたまま帝国になった(アーネスト・ゲルナー

日本のメディアと沖縄のメディアでは、スコットランド問題の捉え方がまったく違う.琉球新報曰く「国家の機能の限界」「もっと小さい単位の自己決定権確立の流れ」とか.

沖縄(琉球)民族のネイション誕生が既に初期段階に入ってるかもしれないが,多くの日本人には見えていない.

参考文献: 『小説 琉球処分

宗教

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独立性件とはいえ国民意識があったフセイン政権.ところが新生イラクでは多数派のシーア派が権力を握りスンニ派は蔑ろにされ...そこにつけ込んだのがイスラム国.イラク内で勢力を拡大.

イスラム国は世界イスラム革命により全世界をイスラム化することを目標としている.

1952年,新しいローマ教皇ヨハネス23世が世界からイスラム無神論者・共産主義プロテスタントをあつめて対話しようと言う場を設ける.すげえ.

しかし1978年,次の教皇共産主義叩き潰す過激派に.そっからバチカン戦略が始まる.

バチカン世界戦略の第一段階は共産主義崩壊.これはソ連崩壊で実現.第二段階はイスラム原理主義を封じ込めること.

ところでプロテスタントについて.ルターの宗教改革によりプロテスタンティズムが生まれる.ルネサンスは復古,理性の信奉であった.宗教改革も一種の復古維新運動であるのは間違いないが,どちらかというと反知性主義的で,スコラ哲学が複雑すぎるからキリストの唱えた素朴な教会に戻ろう!というもの.

宗派改革が引き起こしたカトリックプロテスタントの抗争は30年戦争を経て1648年ウェストファリア条約で一応の決着.

1534年にザビエルらが作ったイエズス会 ... 教皇直属.実質軍隊.そのイエズス会がロシアのウクライナまで侵入. 正教とカトリック1054年に相互破門しており.お互い悪魔の手先と呼び合っていたのですわ衝突かとおもいきや,正教を駆逐することもイエズス会が完全に追い出されることもなく,妥協的な新宗派(?)東方帰一教会が誕生.

イスラム一神教で,ユダヤ教キリスト教の影響を受けている.「アッラー」は唯一神をさす言葉で,英語で言うと「ゴッド」

イスラム」とは絶対帰依を意味する.生活の決まりが細々と決まってる.

イスラム理解する上でスンニ派とシーア派の違いは大事.

ムハンマド没後代々最高指導者「カリフ」を選挙で決めるが,4代目のカリフであるアリー氏が「おれムハンマドの従兄弟だしムハンマドの娘を嫁にもろたし」と正統派を自称し始める.これがシーア(分派)派.もともとは「アリーのシーア」と呼ばれてた.

これに対してスンニ派は代々のカリフを正統とみとめるもの.

キリスト教は原罪というかたちで人間の悪を自覚しているが,イスラムは悪さの原因をジンという妖怪のせいなのねにするので悪さへの反省がない.どんな暴力も肯定される

1501年にイランがシーア派を国教に定める.

パレスチナ第一次世界大戦のときオスマントルコ領.このときイギリスは三枚舌外交を展開

  1. アラブ人に「独立させるからオスマントルコに反乱しろ!」
  2. フランス、ロシアに「トルコ領山分けしようぜ」
  3. ユダヤ人に「パレスチナ帰りたいだろ?建国してやるよ」

結局オスマントルコが戦争に負けるとイギリス統治下でユダヤ人移民をガンガン進める.アラブ人は黙っとるわけなく衝突.イギリスのクズさよ

1947年,分割案.イギリスはもう統治する体力ないので国連で話し合い.パレスチナを分割しよう,と.しかしややユダヤ人に有利な内容でアラブ人側は納得行かない.

1948年,イスラエル建国.建国と同時にアラブ人たちと抗争(第一次中東戦争),結局イスラエルが領土広げてアラブ人の領土駆逐しちゃった.

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イスラム原理主義...ネットワーク型なのでどんどん拡大,加えてイスラムミーム的に強すぎて相手に回すとやりづらい.押さえ込む鍵はネイションにある.レーニンとスターリンはそれを把握して暴走をくい止めようとした.

新帝国主義はどこへ向かうか

キリスト教でもイスラム教でも,社会の危機に対して復古・原理主義的な運動が起こるのは過去にもあったこと.現代のEUも見方によってはローマ帝国への回帰かもね.

近代は限界に近いが崩壊はもう少し先だというのが著者の意見.近代を越えるものとして提出されたものがことごとく失敗してる現実もあり.

あとがき

著者の大学時代の恩師の教え.ヘーゲル弁証法には落とし穴がある.若いうちはヘーゲルマルクスのように強力な世界観で歴史をダイナミックに読み解くことに魅力を感じるけど,そーゆー哲学や神学はどこかで具体的な人間を見失ってしまうのではないかと.

歴史はヘーゲルが言うように「絶対精神が弁証法的に発展」していくという単純な流れではない.他人の体験を追体験,他人のきもちになって考えることやで