『ダーウィンの箱庭 ヴィクトリア湖』ティス・ゴールドシュミット
- 作者: ティスゴールドシュミット,Tijs Goldschmidt,丸武志
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1999/09
- メディア: 単行本
- クリック: 23回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
20150531開始,同日読了
著者はオランダ出身,1980年から5年間をヴィクトリア湖で過ごす.
ヴィクトリア湖は淡水湖の中では面積が世界2位,北海道より少し小さいくらい.
シクリッド(現地語で"フル")はヴィクトリア湖で300種以上に分化しいまなお進化が続いている.50年に1種のペースで新しい種が生まれている.
調査の最初,様々な色形(頭部と歯によく違いが現れる)のシクリッドが取れるがこいつらは本当に交配できない別の種なのかという疑問.
近い将来,統計学者と遺伝子に取りつかれた学者だけが残り,種を識別したり,動植物を観察する生物学者はいなくなるだろう.(p.38)
E.O.ウィルソン曰く種とは「概念的には自然の状態で自由に遺伝子が交流するひとつの集団,一連の集団」
mtDNAに突然変異のおこる頻度は,哺乳類で核DNAの5-10倍.なので違いの少ない種を解析するときはこちらを使う
ダーウィンの見落としていた問題.ダーウィンは進化(彼自身の言葉によれば"変更を伴う由来")と新種の起源を同一視していた.実際は進化の上での"変化"は新種の発生を伴わずに起こりうる. 種の分離がどのように起こるか,分かれる段階で正確には何が起こるのかを分析していない.
実験室でフルの異種間交配実験を行うと,ちゃんと生殖能力のある子が生まれた. ;; あれ,それって"異種"なの
しかしフィールドで採取するとまったく雑種がいない
シクリッド類に共通する,新種を生みやすい特徴 = 喉にある第二の顎とも言うべき器官.ここが食料パターンによって細かく変化する.石臼のようだったり鋭い歯が並んでたり
しかし生殖障壁は? どう発達するというのか. 自分と同じ色の魚を選ぶようにgなる.
イギリス人が骨ばったフルの代わりに食用になるようにとナイルパーチを放つ.生態系を壊し研究は頓挫?
1954年に放流したとか.著者がいたの1980年だからなんで今さら? いやだから「私は遅すぎた」なのか. 1989年あたりに戻ってくるとすっかりナイルパーチ産業が染み付いていて店で出るのもナイルパーチ.
ナイルパーチはフルをほぼ食べ尽くしたが,それでも飢えることはなかった.フルの代わりにカリディナ・ニロティカというエビが爆発的に増加したため.さらにナイルパーチは共食いする.